毎日を明日なきものとして生きる

外遊びの楽しさを探すブログ

初めての八ヶ岳に挑戦する素人 その3

中岳へ

登って来た道を下り、赤岳を降りて、中岳との分岐点に向かう途中、

すれ違う登山者の中に3人家族の姿がありました。

旦那さん、奥さん、お子さん、仲むつまじく登山を楽しんでらっしゃる姿が、

微笑ましく目に写ります。

しかし、驚いたのはそのお子さん。

見た目小学生ぐらいの男の子に見えます。

男の子の背中にはハーネスのように縛られたベルトを、

お父さんが持って歩いていました。犬のハーネスのような感じです。

「凄いですね!!」

思わず声を掛けると、笑顔で返す両親と、振り返る事もなく登り続ける男の子。

負けてられないなぁ。

心の中で子供にライバル心を燃やすオッサンが、交錯する瞬間。

登山の楽しみでもあるのかな?なんて思います。

 f:id:gonfactory:20160809102354j:plain

 赤岳と中岳の分岐点まで戻ると、綺麗な稜線が出迎えてくれました。

晴れていればもっと綺麗なんでしょうけど、贅沢は言っていられません。

浮き砂利で足を取られながらも、コルの辺りまで降りてきました。

ザックの中から飲み物を入れ換えていると、中岳方面から降りてきた男性も

ザックを下ろし一休み。

「赤岳と方面からですか?」

どこにでもありそうな会話を交わすと、お互いの進行方向の尾根を見て、

「まだまだ先は長いですね。がんばりましょう。」と、

エールを交わし、それぞれに別れていった。

 

 f:id:gonfactory:20160809102626j:plain

中岳通過する頃には、登山者も増えてきました。

長野県では登山者にいくつかの山を対象に、

ヘルメット着用を推奨しているようです。

そのせいか装着、携帯している人が意外と多いのに驚きました。

僕も鎖場の多い山へ挑戦したくて、今年登山用のヘルメットを

新調したところだったので、心のどこかにあった

「素人のクセに格好から入りやがって」と、

思われるのではないかと言う不安は、緩和されたように思えた。

 

中岳を越えると、阿弥陀岳が見えてくる。

遠目で見るより遥かに、切り立っているように見えた。 

頂上付近はガスに覆われていたが、登っている人もちらほら見える。

コルの部分で食べ物を胃に放り込み、いざ阿弥陀岳へ。

 

 f:id:gonfactory:20160809102914j:plain

コースタイム的には往復で1時間ほど、

距離的には大した事はないが、赤岳よりコースが確認しずらいところが、

不安を駆り立てる。

大体8部目ぐらいまで到達したころか、ガスが濃くなってきた。

ガスのお陰で高度感は薄れたものの、今度は漠然とした恐怖に襲われる。

頂上までは手の届きそうな距離、

しかし明確でないコースに何度か登り降りしてコースを確かめる。

こんな時に限って他の登山者の姿は無く、

しばらく悩んで結局登頂を断念することにした。

 

f:id:gonfactory:20160809103044j:plain 

中岳と阿弥陀岳のコルに戻り、後は下山するのみなのだが、

久しぶりの登山で足はガクガク。

行者小屋まで降りてきた時にはギブアップ寸前で、

休憩場のベンチに倒れ込んだ。

 

空いたペットボトルに水を汲んでいると、

すぐそばで休憩している家族に目が止まった。

あ!この小さな男の子は赤岳ですれ違った家族だと、

気付くまでにそう時間はいらなかった。

 

その家族と休憩後に出発するタイミングが重なる。

ちょこちょこ歩く男の子のペースがかなり早い。

疲労を隠しながら、負けてられないと僕も着いていく。

しかもこの男の子、歌いながら歩いている。

グウの音も出ないとはこの事である。

 

しばらく歩いたところで、休憩する家族に話しかけた。

「お子さん凄いですね。いくつですか?」

するとお父さんが、「6才です」

「小学生なんですか?!いや~凄すぎですよ。」と、言った僕に

「幼稚園なんですよ」と、お母さん。

僕の小さなライバルは、末恐ろしい山ボーイでした。

こんな他愛ない会話が、山の思い出を一層濃いものにするのかと思いました。