毎日を明日なきものとして生きる

外遊びの楽しさを探すブログ

晩夏の山

日中はまだ暑く、まだまだ夏の存在感はあるものの、

朝晩はエアコンをつけることも少なくなり、

秋の気配を少しずつ感じられるようになってきました。

それは、雲の形であったり、虫の鳴き声であったり、

色んな要素で季節の移り変わりを感じるものです。

一抹の寂しさを感じつつも、今の季節を楽しむために

選んだ行き先は山。

紅葉で色付く前に、過ぎゆく夏の山並みを

堪能しに選んだのは、百名山に名を連ねる武尊山

以前より登ってみたい山だったのですが、

なかなかタイミングがあわず、ようやく念願が叶いました。

 

早朝、登山口のあるスキー場、オグナ武尊の駐車場に到着。

数台の車があり、すでに出発された後のようでした。

僕が準備をしていると、駐車場に1台車が入ってきました。

おはようございますと声をかけ、一足先に出発しました。

 

登山道はスキー場に併設され、ゲレンデの脇の林の中を進みます。

途中ゲレンデを横切るポイントが分岐点で、

念の為、地図で確認をします。

立て看板も無く、道に迷う典型的な場所なので、

慎重に地図と現地を見比べます。

しばらく地図を片手にキョロキョロしていると、

駐車場であいさつを交わした男性が、追いついてきました。

その男性も看板が無い事に慌てた様子で、

「どっちですかね?」と、声をかけてきました。

地図で確認した登山道を指差し、

「こっちみたいですね」と、2人で再び歩き始めました。

 

見た目は元気そうなそのおじさんは、

年の頃だと50代後半。

格好からしても、ソロのところを見ても、

相当な山好きなのは見て取れました。

結構気さくなおじさんで、一緒に話をしながら進みます。

人と話をしながら山を登る事が少なく、

たわいもない話のお陰で、ペースも順調。

もし、僕に山仲間がいたとすれば、

それはそれで楽しいだろうと思えました。

 

この日の天気予報では、晴天のはずでしたが、

山上はガスっていて、高度があがるごとに、

視界が白くなっていきます。

まぁ、ガスはいつものことですが、

いつものことでも気は滅入ります。

登頂した際の絶景を期待しつつ、先を急ぎました。

 

地図上ではそろそろ分岐点のあるはずの場所まできました。

しかし、辺りに分岐点は無く、目の前にあるのは、

広大な草原と化したゲレンデがあるのみ。

おじさんと2人で地図を眺めては、右往左往していました。

幸いな事に、地図上でリフトが目印になり、

視界の悪い中でも、進む方向は確認できます。

最悪ゲレンデを藪こぎすれば良いと思っていましたが、

この時は1人ではありません。

なるべくならイレギュラーを回避したいところですが、

ここで無駄に時間を消費してもいけません。

一応相談すると、おじさんは藪こぎを選択。

地図上のルートを確認しながら、

恐らく中級者コースぐらいの斜面を、藪こぎしながら進みます。

僕が先行して、藪の薄いルートを探しながら登りました。

目印のリフトと傾斜の様子から、

もう少しで正規の登山道へ出られるはずです。

おじさんも凄いもんで、息ははずんでいますが余裕でついて来ます。

ゲレンデの2/3ぐらいのところで、

先行を交代していただき、無事登山道へ戻ることができました。

後から分かった事ですが、地図が古かったのが原因だったみたいです。

地図は最新の物を使うように言われますが、

まさに今回はそれを痛感することとなりました。

 

前日はこの山でもかなり雨が降ったようで、

足元は悪く、足を取られながらの登山道に、

体力も削られていきます。

やがて、どちらからともなく会話が途切れました。

途中からおじさんが先行してくれましたが、

流石は登山経験が豊富なだけあり、

良いペースで登っていきます。

 

小休憩を2度ほどはさみ、飲み物の入れ替えを行いました。

途中所々でガスが切れるものの、下界を見渡せば、

ほとんど真っ白な世界。

お陰でナイフエッジも高度感が無く、

恐怖感も少なく通過することができました。

 

三ッ池と言う小さな池が転々と続く場所で、

この日初めてカメラを出しました。

 

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おじさんとはここで別れ、山頂で再び落ち合うことに。

少々写真を撮って、山頂目指し再出発します。

程なく広さにすれば20畳ほどの山頂に到着。

先ほど別れたおじさんの姿もありました。

昼食を取って休憩しながら、おじさんと談笑。

「迷い道のところで、教えてくれてありがとう、

あなたがいなければ、帰っていたかもしれません」と、

お礼の言葉とドーナツを1ついただきました。

僕としては、藪こぎにつきあわせてしまって、

申し訳ない気持ちでいましたが、

おじさんの一言に救われた感じがしました。

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昼食後、下山のするとき、

下りの苦手な僕は、先に出ると伝え、

おじさんより先に出発しました。

 

ここ武尊山は中盤部分は鎖場もあり、

予想していたよりかなりハードな山でした。

1/3ぐらいを下山したところで、

頂上で別れたおじさんに、あっけなく抜かれました。

恒例の下りでの膝の痛みも出始めるころで、

無理せず自分のペースを保っていきます。

景色の1つも見られれば、少しは気も紛れることでしょうが、

依然として、周囲はガスに巻かれ真っ白な世界。

暑くないのがせめてもの救いです。

 

ようやくスキー場のゲレンデに出たところで、

ようやく青空が目の前に広がりました。

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ヤマユリがポツポツ咲いています。

 

ゲレンデから朝の雑木林に入ると、

後ろから人の気配があり、振り返ると頂上で別れたおじさんでした。

どうしたのかと尋ねてみたら、下山途中でも道迷いで、

藪こぎコースに入り込んでしまったようです・・・。

たわいもない笑いで、疲れも和らいだかのように感じたのは、

今までにない不思議な感覚でした。

 

おじさんと駐車場で「またどこかで」と別れると、

人と登る事の楽しさが少しわかったような、今回の登山でした。