毎日を明日なきものとして生きる

外遊びの楽しさを探すブログ

最後の渓

朝方の涼しさで、季節の移り変わりを感じるようになると、

渓の釣りの終焉がすぐそこまで近づいている事を意味する。

毎年、夏の遠征の後は渓から足は遠のくのだが、

今年の渓を締めくくるべく、最後の渓に向かった。

 

現地に到着し、車のドアを開けると、そこはすでに秋。

夏を引きずった自分の意識を、ガラッと変える寒さが、

薄着で来てしまった事への後悔と共に襲い掛かる。

 

禁漁まじかにこの川に訪れるのは初めて。

例年であれば、8月までに渓を堪能して、

9月は別の釣りや、のんびりキャンプを楽しむのに、

時間を費やすことが多いからだ。

時間と気持ちの折り合いが付き、恐らく今シーズン最後となる

渓の釣行とあいなった。

 

夏らしくない夏だった今年の8月。

水位はやや高めで、何度かの豪雨の爪痕が、いくつか見られる。

岸際には幼魚の姿もちらほら、

とりあえず河原に降りたすぐから打ち始める。

3投目だったろうか、ぷるんと軽いアタリが竿に伝わる。

お!早速アタリか!と思ったら、人差し指ほどの魚がかかっていた。

ハハハと笑いながら引き寄せると、水から引き揚げた瞬間、

ポロンとお帰りになった。

 

少し上流に移動して、アップで流心に放り込み、

ドリフトさせて、反転流でモゾモゾやると、

カツンっと小気味よいアタリ。

下流の流れに乗る前に、少々強引に引き寄せて、

ランディングネットに手がかかるぐらいのところで、

またしてもバラシ。

 

なんだ今日は活性が高いんじゃないかと思わせるには、

十二分な出だしに、バラシたことなど気に留めず、

足取り軽く打ちあがった。

 

しかし、気が付けばぞの後、アタリもないまま

日は高々と頭上に上がっていた。

ムキになって、いつもの脱渓ポイントよりさらに奥へ。

次第に幼魚の姿もなくなり、あえなくギブアップ。

今シーズンの渓を終えることになった。

 
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釣れなかった。

でも、楽しく、有意義な時間を過ごせた。

カワラヒワがせわしなく追いかけっこをし、

長い時間叩くことのない竿に、トンボが止まる。

空はもう秋の空。

青く突き抜け、雲は秋の形をしていた。

また来年、その時はまた遊んでおくれ。

それまでひとまず、しばしのお別れだ。