毎日を明日なきものとして生きる

外遊びの楽しさを探すブログ

夏の思い出と

平成最後の・・・と言うワードをやたらと耳にする。

初の生前退位となる平成は、皇太子が即位するまでに時間がある。

平成を生きたものにとって、この30年余の時間を振り返る時間にもなっているようだ。

西暦で言えば2019年になるだけの話だけど、

日本に生まれたからには、ただの1年ではなく、

一時代の移り変わりとしても、大きな意味を持つ出来事だと

受け止めている人が多くいる事を意味するのではないだろうか。

平成最後の夏。

自分の中でしっかり思い出を作っておきたいところでもある。

 

急遽週末の釣行予定が確定した週の半ば、

誘ってくれた相手は6月に渓を共にした友人であった。

自宅から車でおおよそ3時間、

そこから歩いて2時間ほどの山奥が今回の舞台になる。

以前の自分であれば、この時間を聞いただけで拒絶していたことだろうが、

長い年月が経ち、その考え方も徐々に変化をして、

今はそんな釣りが楽しいと思えるほどになっていた。

 

いつものように集合場所の駐車場で落ち合って、

薄明るくなった市街地の国道を北へと進路を取る。

天気予報に傘マークが付くものの、予想降水量から想像すると

釣行を心配するほどでもなさそうだ。

会話は自然と会わなかった間の釣行話になり、

それがこの日の釣行のプロローグとなるのはいつもの事である。

 

車を停め、そこから2時間一気に最奥の目的ポイントへと進んだ。

朝もやを縫うように幾重に連なる山々。

その折り重なる山裾を深い渓が切り込むように蛇行する。

多くの地方で渇水が懸念されているこの夏にも関わらず、

大量の水を湛えるその渓は、まさに山からの恵みともいえる水なのだ。

その透明度は遥か谷の上から見てもわかるほどの色をしていた。

 

登山をするようになって、釣りまで歩くのも苦ではなくなった。

特に同行する人がいると言うのは、

一人の登山と違いそれだけで楽しいものである。

会話をしながら歩くこと2時間、この日最初の実釣に気持ちが躍る。

そそくさと支度をすませ、先行を譲り合い、二手に分かれ釣りが始まった。

 

流石は上流、普段釣りをする渓よりも遥かに大きな石が

河原を埋めている。

石をよじ登りながら、身を隠しながら、

大石が構成する水深のある渕へキャストする。

その光景はまさに源流の釣り、僕のようやくここまできたのかと

なんとなく『続けてきた』ことへの喜びをかみしめる。

 

その期待感と、最高のロケーションとは裏腹に

魚からの反応はなく、魚影すら確認できなかった。

友人との緊急会議、自然は厳しいものだと改めて思い知らされる。

単純に山奥に入ったからと言って、期待する結果ではないことがある。

これぞ骨折り損なのだけど、それこそが今の自分を構築していると思う。

1つずつ間違いを潰し、何度も繰り返し、その先に正解を探す。

その積み重ねこそが、僕の釣りなのだと思うのだ。

 

結局、1時間ぐらい下った中間地点で再び竿をだした。

さっきの苦労は何だったのか?と思わせるほど、

最初から多くのチェイスが確認できた。

釣り遊びなんてだいたいこんなものである。

小型ながらルアーにじゃれつく姿はいつ見ても楽しい。

明確に攻撃された衝撃は手元に届くものの、

そいつを針に掛けることは難しく、それがまた楽しい循環を作り出す。

ようやく掛けた魚はなんとも美しいヤマメだった。


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友人に作ったランディングネットで、僕の釣った魚ランディングされた。

何とも言えないこの喜びが、僕たちの釣りを象徴するようで、

二人でしばらく浅瀬でその美しさに見とれていた。

 

友人は家族で夕食にする魚を確保し、安堵の表情。

朝はどうなることかと思ったが、良いお土産ができたことで、

僕も嬉しく思えた。

 

やっと波に乗れてきたところで、突然のどしゃ降り。

一時雨宿りをしながら、状況を見守るけど、

強く水面を叩く雨は次第にその勢いを増していった。

やがて、山肌を滝のように流れ込む水が濁っていき、

あっという間にあんなに透明だった川が、

底を黙視するのが難しくなってきた。

もう少しやりたかったね。

お互いの口か漏れたとき、腹八分目、

丁度辞め時を雨が教えてくれたのかもしれない。

 

雨の中ずぶぬれになって、車を停めたところまで戻る。

いい年したおっさんが、パンツまでずぶ濡れになったのは

いつ以来だったかと話し笑う。

雨の止んだ車の横で、Tシャツを絞りながら、

河原で食べるはずだったカップラーメンのお湯を沸かす。

こんな遊びができるなんて、幸せだなぁって思う。

そんな平成最後の夏の思い出。

帰宅して、濡れたザックの中身を干しながら、

そんな思い出を思いおこしました。


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