登山全行程の序盤ながら、いよいよ前掛山へ向かう。
前掛山を右手に見て、徐々に傾斜を増す砂と石の登山道。
ガスが目まぐるしく視界を取り巻き、ちょっとガスがどけば、
人の背丈ほどの紅葉したカラマツが、森林限界まで絨毯のように広がる。
山頂はガスがかかったままだが、登るたびにその広がる景色に、
登頂するまでには視界が開けることを願って歩いた。
ほんの僅かな時間青空が見え、山頂が遠くに見えた。
富士登山のように、山頂が近づいてくるのが目視できると、
ワクワクした気持ちになれる。
山頂に近づきだんだん周りの石が大きく変わって行った。
時折見せる青空に気分も上がっていくのだが、
物の数分も持たずまた白い世界に包まれる。
山頂まであと少しのところにある、緊急避難用のシェルター。
風も強くなり、ここで上着をザックから引っ張り出した。
小休止を挟んで、いざ山頂を目指す。
山頂付近はさらに風が強くなり、感温度は冬のようだ。
登頂後に天気の回復を待ってみたものの、
これが限界ですぐに視界をガスに持っていかれた。
長居をせず、トンボ返りで先ほどの分岐まで一気に下った。
先ほどの分岐点まで戻ってくると、
今度は日も差し始め、上着を着ていると暑いほどまで気温が上がっていた。
ここからは賽の河原を経由し、Jバンドへ向かう。
目の前にそびえる岸壁を登ったところがJバンド。
ここまで来てようやく安定して青空も見えるようになり、
アップダウンが少ない山の間には、黄色の絨毯の中に、
ポツポツと散らばる赤い葉がアクセントになり、
紅葉って言うのも良いもんだなんて思ったりするのである。
本当はやがて枯れて葉を落とし、その先には厳しい冬が待っていると思うと、
紅葉は好きになれない部分があった。
しかし、何かを成し遂げるためにその過程で見る物は、
何か特別な感情に襲われる事に、たびたび出くわすようになったのは、
単に年を取ったからだけではないだろうと思っている。
今回は写真も多く、もう1回続かせていただきます。