このとこと絶妙なタイミングで、週末山行にいそしんでいます。
週末になると崩れる天気に、何度フラれたかわからない春先の予定。
徐々に秋が深まっていく中で、台風、秋雨、色んな影響で、
秋の週末も怪しくなっていく。
行ける時に行かないと後悔することになりそうだ。
週末の天気を確認し、スクランブルで前日の夜に山行の準備をし、深夜に家をでた。
今回の行先は瑞牆山。
昨年金峰山に登った時、遠くに見えた山で、
いつか登ろうと思っていた山だった。
駐車場に着いた時には、すでに多くの車が停まっていた。
登山口に来るまでに道路に設置された温度計は5℃、
少し仮眠を取って、眠気取りと気温が上がるのを少し待つことにした。
周囲がだいぶ明るくなってきたころ、ようやく準備を始め、
駐車場を出発した。
外の空気は冷たかったが、上着を着るほどではなく、
登山口を少し歩くと徐々に体が温まり、気温も気にならなくなっていた。
序盤は森の中のトンネルを歩くコースで、
高原の朝を散歩するような感じがたまらなく気持ちいい。
しばらく歩くと徐々に傾斜を増して、少し開けたところに
出たところでガスが晴れ、そこに今回の主役が姿を現した。
あの岩肌、間違いなく1年前に見たあの山だ。
紅葉の時期とも重なって、老若男女多くの人が頂上を目指していた。
賑やかな周りからの話し声は、秋の遠足を思い出させる。
大人になった今であっても、その楽しさは同じなんだろう。
ほどなくして富士見平小屋に到着。
多くの人と、テントを張っている人たちで賑わっていた。
序盤なので休憩を取らず、素通りで先に進んだ。
森の中を歩き、川を渡ると大岩が現れる。
ここから徐々に岩場や鎖場が増えていく。
前日に降った雨で、引っ掛かりのない滑らかな石と
木の根、土が滑りやすく、緊張しながら進む。
登山ルートには倒木が多く見られ、そのほとんどはまだ新しい。
恐らく先日の台風によるもので、ところどころ崩れた跡もみられた。
直径1mぐらいあろうかという巨木ですら、根こそぎ倒れているのを見ると、
今年何度も日本を襲った自然災害を思い出した。
自然の前に立てば、人間なんて無力なんだと思わせる現実を目の当たりにする。
しかし、それに屈せず立ち向かい、切り開いてきたのも人間の強さなんだと、
自然対峙するこの時に感じる物である。
木々の間、ガスの向こうにうっすらと岩陰が見えた。
近くまで来ると大きな岩が現れた。
大きな一枚岩がいくつも合わさったような、岩に亀裂が入ったような。
そんな不思議な形をしている岩だった。
確かに金峰山から見た瑞牆山は、そんな形をしていたのを思い出した。
ここからは岩場と森の繰り返しで、カメラを出す余裕もなかったようで、
写真がほとんどなかった。
山頂下の鎖場と梯子を通過すると、いよいよ瑞牆山さんの山頂が現れた。
生憎ガスに覆われ、その眺望は少し残念であったけど、
ガスは幻想的な景色にしてくれる効果もあるのだ。
この向こうに金峰山が見えるはず。
こちらは八ヶ岳。
確か赤岳山頂もガスだったような・・・。
断崖絶壁の下には紅葉が広がって、雲がフィルターとなって良い感じの写真になった。
僕は山に登ると、よくガスっていることが、こんな効果もガスにはある。
雲海、ブロッケン現象、雲に山の影が映ったり、虹が出たり、
それらの珍しい現象は、晴天では見られないものである。
山頂で昼食を取り、写真を一通り撮影しながら、
しばしガスが晴れるのを待った。
しかし、さらにガスが濃くなるのを見て、山頂を出発した。
今回はピストンでもよかったのだが、
周回コースで滝が見られるコースがあり、
そちらのコースに行ってみることにした。
序盤は木の根に足を取られながら、急な下りを下って行く。
苔に覆われた倒木。
ジブリのような世界が広がる。
何十年、何百年、何千年、何万年・・・・
1日を積み重ね、この姿になったのかと思うと、
何気ない登山道の脇に広がる景色でさえ、
特別な景色に見えてくるから不思議なものだ。
自分の中でもはっきりとは分からないが、
山に対して信仰的な物を感じるのは、
こういうところから来るのかもしれない。
かなり下ってきたところにあるのが不動の滝。
釣人にとって癒される水辺があるのは、非常に嬉しい。
川沿いの登山道はよくあるのだが、
これだけの大きさの滝が見られるのは珍しい。
色々設定を変えて写真を撮ったり、
滝が眺められるところに設置されたベンチに腰掛け、
おやつを食べながら休憩する。
目に見えないマイナスイオンとやらに癒されてるのか、
のんびりした時間が流れているから癒されたのかはわからないが、
なんだか疲れた体に沁みるような景色であった。
林道に出ても木々のトンネルの感じが気持ち良い。
やがて舗装路にでると、後はただ歩くのみ。
先ほどまでいた山を横に見ながら、
真新しい思い出を思い返しながら、瑞牆山の山行は終えた。