毎日を明日なきものとして生きる

外遊びの楽しさを探すブログ

改元

4月に入り、真夏を思わせる暑さの日があれば、

雪が降るような寒い日もあり、僕の住む地域で

4月の降雪は9年ぶりなどとテレビが言っていた。

積もるほどではないにしろ、朝支度をしていると

何を着て良いものか考えることもしばしば。

花冷えなんて言葉があるけど、開いた花に

積もった雪には、桜の木もさぞ驚いたことだろう。

 

あちこちで「平成最後」と言うワードが聞こえてきて、

改元に伴って超大型連休となった今年のGW。

現存する日本国民が初めて体験する生前退位で、

新年を迎えるような盛り上がりがあった。

ありがたいことに、僕も長期の休暇をもらえることができ、

家族でゆっくり楽しむ時間を過ごすため、

恒例の春の遠征へ出掛けました。

 

平成を残すところ数日にせまった4月の末、

 

車のトランクに荷物を満載にして、

目的地へと出発する。

今年のゴールデンウイークは、改元のお陰で

長期の休暇を取る事ができた。

そんな休暇をのんびり過ごすべく、

毎年恒例の春の遠征に向かう。

寒気が入り込み、出発当日は生憎の冷たい雨。

途中休憩に立ち寄ったSAでは、薄手の上着では寒いほどだった。

強弱を繰り返す雨の中、順調に目的地に近づき、

やがて明るくなった空は、厚い雲に覆われていた。

初日にこの天気とは、幸先はよろしくない

なんて思ってしまうのも仕方がない。

朝食をコンビニで買い込み、ようやく宿泊先に

たどり着いた時には、周囲はすっかり明るくなっていた。

 

所用を済ませ、ようやく部屋に寝転んでいると、

とたんに身震いが出て、備え付けのファンヒーターの電源を入れた。

翌日に予定していた渓流の準備をしながら、

空模様が気になり携帯で天気予報をチェックする。

相変わらず微妙な天気ではあるものの、

雨の心配はなさそうだ。

長旅の疲れもあって、夕飯で開けた缶ビールの

2本目が終わりかけた時、眠気にやられて

その勢いで1日目の夜が終わっていった。

 

日付は代わり、2日目の朝。

そそくさと支度を済ませ、外に出ると寒さに驚いた。

僕の地域では冬のような気温、

車の外気温計は3℃を示していた。

昨日の冷たい雨、そしてこの気温。

雪代の影響もあるかもしれない、

釣り場に向かう道中そんな不安を抱きながら、

山道に差し掛かった時、道路の電光掲示板には

大きな山を抜ける県道が「降雪につき、走行注意」の案内があった。

今回の釣り場は下流方面だったので、通行に問題はなかったが、

降雪の驚きと共に釣りの方の状況が、さらに心配になってきた。

 

春先に毎年訪れる川、車を停めると

昨日の雨でぬかるんだ足元の中、

ウェーダーに履き替え、身支度を整え、

早速水辺を目指す。

川沿いの山道を左に渓相を見ながら、入渓のポイントへ急ぐ。

吐く息は白く、ロッドを持つ手がかじかむほど冷たい。

開けた田園の中で、いくつかの田は水を張っていた。

その畦道は白く霜が降りている。

なんともおかしなこの風景、遥か向こうに雲を被った

山々も顔を覗かせた。

今となっては見慣れた風景なのだが、

故郷に帰ってきたような、不思議な感覚を抱くことがある。

 

本格的な入渓ポイントの手前、アクセスしやすいポイントを

2~3試し打ちと、肩慣らしで流していく。

春先にリメイクしたロッドは、未だ入魂できていない。

まだ竿との『対話』もままならず、

試し打ちとはいかにもこの事に尽きる。

 

軽く、帰ってきた川へ挨拶を済ますと、

緩やかにカーブしたアウトサイドの水深のある部分を狙う。

水の色は前日の雨の影響か、雪代なのか、ささ濁り。

ドリフトさせながら、軽いトゥイッチを入れると、

チェイスの影が浮き上がる。

寸でのところでUターンしたのだが、

想像していた天候などの状況からは、

雨や朝一で反応があった事が奇跡的に思えてきた。

その後、何度かルアーを見に来るものの、

食わすまでにはいかず、やっぱり厳しいのか?

なんていう思いが過る中、入渓のポイントに着いた。

 

崖を下り、直接川の中に入るこの入渓ポイント。

前回来た時に見つけた、切り立った渓谷のような渓相、

入渓ポイントが少ないこの川では貴重である。

確信のポイントまで小さなスポットを流しながら

打ち上がっていく。

水量は多く、川を横切るのに足が持っていかれる

ぐらい水押しが強い。

ようやく核心のポイントに到着する頃には、

体も温まってきた。

肝心な竿との『対話』も徐々にペースを掴み、

いよいよ本番だ。

 

まずは教科書通り手前を探りながら、

徐々に間合いを詰めていく。

何本か打ったところで、ふとルアーチェンジをした。

このなんとなくが、奇跡を起こそうとは、

この時は知る由もない。

 

つづく

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※写真はイメージです