毎日を明日なきものとして生きる

外遊びの楽しさを探すブログ

逃避

長い梅雨が明け、ようやく夏がやって来た。

夏を迎える身構えもないままに、

テレビは連日の酷暑を伝えている。

気温でも天気でもなく、何か物足りなさを感じていたが、

それがわからぬまま毎日が過ぎていった。

気温が一気に上がると、その物足りなさは、

いっせいに羽化したセミたちが大合唱したことで、

そのモヤモヤも晴れた。

土の中で、外は雨だから来年にするかな、

なんて思っていたところに、いきなり暑くなったもんだから、

セミたちもさぞ慌てたことだろう。

 

真夏は毎年恒例の海水浴を兼ねた遠征が待っている。

この恒例行事も今年で10年。

まだよちよち歩いていた娘も、

今じゃ生意気な口をきけるほどに成長した。

そんな感慨に浸りながら、慣れた調子で車を走らせた。

 

台風などの影響で心配していた天候も、

暑すぎるぐらいに青空が広がっていた。

到着して翌日は、お墓参りや掃除に買い物を済ませ、

2日目の朝に渓へ照準を向けた。

 

前日の宴のお陰で、寝ぼけた頭を引きずりながら、

狙いを定めた川へ向かう。

海を眺めるワインディング、懐かしい景色が

また『帰ってきた』と感じさせてくれた。

朝は厚い雲に覆われた空も、遠くに覗く青空が

暑くなるだろうと予想させた。

 

河原に車を停め、川に様子を眺めると、

水位はいつも低位水位で悩む例年よりはやや高く、

好調なのではないか?と嫌がおうにも期待が隠しきれない。

逸る気持ちを抑えつつ、車のトランクを開け支度をしていると、

チクチクと足元に刺激があった。

あぁ!蚊に刺された!

見ると数ヵ所赤くなっていた。

痒いなぁ、その時はそのくらいにしか思わなかったが、

後になって尾を引くとは、この時は考えもしなかった。

 

前置きが長くなったが、いざ上流目指し歩き出した。

以前、夏に来ることがあったら良いだろうなと、

目星を付けてあったポイントにから入った。

瀬と深場が連続するストレッチ。

水深のあるポイントはおいしそうに見える。

自分の見立ては悪くない、なんて嬉しさも込み上げる。

河原に下りてすぐ、目の前の瀬を流しながら釣り上がる。

深場に差し掛かろうかという所で、岩をかすめてルアーを

駆け抜ける後ろに影が付く。

いきなりでドキッっとする、毎回な事だけど

これが未だに馴れないのである。

 

さらに期待が高まるシチュエーション、

いつも以上に丁寧に攻めて行く、

ルアーを小まめにチェンジして、魚からの反応を見る。

しかし、その後の反応はパッタリ途絶え、

意気消沈するのにそう時間は掛からなかった。

 

いつも以上に慎重に攻めたせいか、

いつもなら同じ時間で、もっと上流に進んでいるはずなのだが、

時計を見ると家族との約束の時間が迫っていた。

もう少し上流も見てみたかったが、

すでに日差しは頭の上から降り注ぎ、

深い渓にいるのに清涼感は全くない。

体長10cmぐらいの幼魚のチェイスはあるものの、

それ以上の魚を見たのは朝一のチェイスだけであった。

残念ながら、初戦はこれにてタイムアップ。

これが夏の厳しさなのか?

それとも僕のウデの問題か?

どちらかと言えば、後者だと思うのだが、

久しぶりの完全試合に、次の釣りの組み立て方が

まったく見通しが付かない状態だった。



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そんな落胆した気持ちに追い討ちを掛けるように、

今朝の蚊だと思っていた刺された痕が、

腫れ上がってきた。

明らかに蚊ではないその痕は、ブヨの仕業だと

ようやく理解できた。

しかも、釣行中にうっとうしくつきまとわれたアブに、

チクっと一瞬背中をやられたところも

赤く腫れていた。

遠征で浮かれていて、うかつにも吸血虫の存在を忘れていた。

お陰でしばらく痛みと、痒みに悩まされるはめになった。

皆様も、渓流では獣と虫にご注意ください。

 

つづく