病院から帰宅すると、発熱した家族という事で、
カミさんと子供は会社と学校を休んでいた。
そして、僕の隔離が進められていた。
その日の夜、熱が上がり38℃後半まで上がり、
コロナかもしれない、と言う疑念が頭に浮かんだ。
明けて翌日、発熱外来を受診することにした。
町に2か所ある発熱外来を行っている病院、
その1つに予約をし、車で病院に向かった。
田舎なので車生活が、こんな時は助かる。
病院の裏手にある入り口に、発熱外来入り口の張り紙があった。
混んでいるのかと思ったが、意外にも数人の患者さんが廊下に
一定の間隔を開けた長椅子1つに1人ずつ腰かけていた。
テレビで見た事のある全身防護服に身を包んだ看護師さんに問診を受ける。
問診が終わり、待合の長椅子に腰掛けると、先ほどの看護師さんが
僕が触れたであろう椅子やテーブルを除菌していた。
それが両従事者だけでなく、一般にも当たり前になってきたとは言え、
感染リスクにさらされながら、尚笑顔で淡々と業務をこなす
医療従事者にただただ頭が上がらないだけでなく、
こんなことで受診する事への罪悪感みたいなものも感じていた。
順番が来て、診察室に通される。
繰り返しの問診を行い、喉の症状を見られた。
触診も聴診もなく、それはいつもの内科の診察とは違い、
いかにもあっさりしたものであった。
二、三質疑があり、医師は「PCR検査受けますか?」
心のどこかで、自分の為ではなく、家族や職場への安心材料の1つとして
受けておくべきなのだろうとは思っていた。
「発熱の場合、保険が適応になるし、安心にもなるし」と
勧められるがままにPCR検査を受けることにした。
順番までは車で待機と指示があり、携帯に準備ができたと着信が入る。
寒風吹き荒れる中、屋外に待機していた看護師さんの元へ向かい、
車に乗ったままPCR検査をうけた。
検査方法はインフルエンザの検査を受けた事のある人ならわかるだろうが、
柄の長い綿棒を鼻の奥まで入れ、鼻の奥の粘液に付着したウィルスを
採取して、検査機関で検査を行うというものだ。
結果は検体の数にもよるらしいが、早くて翌日でるそうだ。
僕の住んでいる地域は幸い感染者はそれほど多くない。
それでも第三波の時には、中2~3日結果が解るまでかかったそうだ。
この日、土曜日の受診だったので、日曜日も検査期間は動いていることに、
ただただ驚き、敬意を持たずにはいられなかった。
結果は翌日の朝に電話で連絡があった。
結果は陰性。
しかし、確率はそれほど高くなく、陽性と診断され、
陰性な事もあるし、その逆もまたある。
しかし、僕はこの2週間以上、バカ真面目に自粛を遂行してきたし、
通勤は車、接触があるとすれば会社の人か、たまに買い物へ行く
お店の店員さんぐらいなもので、かなり自信はあった。
今回の結果はそんな自信の裏付けとなったように思えた。
もちろん、その結果に慢心することなく、今まで以上に感染対策を
行っていきたいと思います。
しかし、実際のところ僕の病気が何だったのかは判明しないままだった。
問診や診断で、そこまで重篤な症状では無いと判断したので、
処方された薬剤で治癒するだろうとの判断だったのだろう。
現に熱は下がったのだが、問診だけでは見逃してしまうような症状も
あるのではないかと心配になってしまう。
コロナ前であっても、診断の間違いなどあったぐらいだし、
そんなところも不安になってしまう。
医療崩壊とはコロナ患者で、パンクするだけでなく、
適切な治療、助かるはずの命が助からない事の方が深刻だと言う人もいる。
日本の医療の進歩と共に、日本人の寿命は右肩上がりに伸びてきたが、
今後医療体制が崩壊していけば、未来は変わってしまうかもしれません。
今一度、今自分に出来る事を考えたいと思います。