毎日を明日なきものとして生きる

外遊びの楽しさを探すブログ

始球式

郷では桜が咲く頃、渓の解禁から1か月余り経とうとしていた。

消化しきれない年休を、最後のあがきとばかりにねじ込んで、

今年の始球式に出かけた。

向かった先はシーズンインに訪れる本流。

その年の初めにこの本流でシーズンインするようになって、今年で6回目になる。

この時期に特別な事があるわけでもないのだけど、

思い入れのあるこの川で、その年のスタートを切るのは何か特別な意味を、

年々増しているような気がするのだ。

しかも今年は特別な人と一緒に釣りをする。

 

季節外れの高気温が続くこの春、慌てて開かせた花も少なくない事だろう。

しかし、当日は寒の戻りか、二週間ほど逆戻りしたような、

ひんやりとした朝になった。

待ち合わせのコンビニに現れたのは、実に2年ぶりになるこの日の同行者。

彼とは元々釣具屋の店員と客と言う関係で、年に数回ほど店に訪れる程度だったが、

僕を覚えていてくれて、店内でその日の釣りや、釣具の話をするのが常だった。

お店が何度か変わっても彼がいる店に訪れたのだが、

昨年お店を訪れた時、辞めたとの話を聞き、もう会えないのではと思って

お店を後にしたことは、記憶に残っていた。

それが何の奇遇か、SNSを切っ掛けに再び繋がりを

持てるようになったのは昨年の話。

しかも、今度は自分のお店を構え、再び戻ってきた。

「釣りの帰りにお店に寄りたいけど、お店空いてます?」

いつものように釣りの帰りに寄るだけのつもりだったけど、

一緒に釣りに行きましょうと返ってきた。

嘘のようなお誘いをいただき、この日を迎えたのだ。

 

前日に上流で冷たい雨が降ったとの事で、

雪代とのダブルパンチで厳しそうだと、水の色が言っている。

しかし、そんな事はあまり問題でなく、

彼と一緒に出来る嬉しさで、テンションは維持できていた。

あまり人と釣りをすることが無く、買ったルアーの使い方も

よくわからないまま、ルアーケースを後にすることも多い中、

ポイントの話、ルアーの話、道具の話はどれを取っても興味深く、

僕にとってはとても貴重な時間である。

1つ1つに意味があり、自分の中で新たな発見と共に、

その点と点が繋がり、世界がまた広がる。

 

残念ながら本流での魚からの反応はなく、

本流を後にして、支流に登ることにした。

着いた川は河原にまだ雪が残り、フキノトウが顔を出す。

 ここ数日の高気温からか、水量は多く、その水は冷たい。

流れ落ちる水量に、2人子供のようにワーっとなる。

白泡の先にルアーを落とし、軽くトゥイッチをくれてやると、

グッと絞り込まれる竿を同行者が見て、ようやく来たかと喜んだのもつかの間、

 f:id:gonfactory:20180408194158j:plain

来たのはタオルと言うオチに、顔を見合わせ笑った。

まるで、小学生にトリップした感覚になる。

いるのに食わないのか、はたまたその場所にいないのか、

魚からの反応はなく、来た道を雪を踏みしめて車へと戻る。

日は傾き最後の川と入渓した川で、同行者にヤマメが来た。

彼は遠方から来た僕に釣らせようと、先にキャストを譲ってくれるのだが、

なかなか期待に応えることができず、後攻の彼に交代するとヒットした。

先行が有利なのは確かだけど、自分が出せないだけで、

釣れる魚がそこにいる。

彼の釣りを見ているだけでも、人と釣りをあまりすることが無い僕にとっては、

すごく貴重で、これも楽しい釣りなのだ。

結局僕は魚と会うことは叶わず、一日の釣りを終えた。

そして、帰りは彼の店により、釣りの話、ルアーの話が、

疲れた体が癒され、棚のルアーをいくつか購入して帰路についた。

やっぱりこれが僕の釣りだなぁと思う1日が過ぎた。

 

こんなへたっぴな僕の付き合ってくれる人がいることに、

本当に感謝の言葉しかない。

本来であれば、彼のような釣りのうまい人が、

僕を相手にしてくれるのだからこんなにありがたい事はないのだ。

今回はいろんな経験をし、新たな釣りの楽しさを発見し、

釣りの楽しさを再確認した1日となりました。

また、よろしくお願いします。