新元号が『令和』となった少し前、
そんな新元号が何になるのか?なんて予想が飛び交う中、
出来上がったばかりの竿を片手に、
ロッドの作り方を教えてくれた友人の元へ車を走らせた。
河原のネコヤナギも膨らみ、
少しずつ春の様相を見せていく。
前日みぞれが降ったそうで、周囲の山の山頂が白くなっていた。
春めいた暖かい日が続いて、いきなり冬に戻ったような気温。
川の水も気温と共に急激に下がり、
釣りには厳しい条件が揃ってしまった。
まぁ、僕としてはいつもの事であり、
日頃の行いを悔やんでも今更遅い。
この日は魚に会う目的とは別に、ここ1か月楽しく工作に励んでいた
竿のデビューと言うイベントがあるから、
そんな気候でもあまり気にならない。
しかも、その竿のデビューがロッドの作り方を教えてくれた人と
一緒なのだからそれだけで嬉しいのだ。
最初のポイントに着き、慣れないアクションの竿でそろりそろりとキャストする。
少しずつ竿との対話ができてくると、そのルアーの弾道の美しさに
思わずにやけが出てくる。
遠巻きに見ていた友人からも、綺麗な弾道だと褒められ、
ますます嬉しくなる。
慣れるまでは苦労するだろうと
思っていたコントロールだが、
初めての竿とは思えないほど決まっていく。
竿のポテンシャルなのか、
たまたま僕に合っていたからなのか。
このブランクを進めてくれた友人も、
ここまで良くなるとは思わなかったと言っていた。
友人とタックルを交換したり、竿の使用感を話したり、
こんな釣行が年々楽しく思えてくる。
魚からの反応の方は芳しくなく、
友人が1尾釣った事が唯一の救いであった。
その後はコンビニで弁当を買い、お湯を沸かしてコーヒーを飲みながら、
雪解けはまだまだ遠い名峰を眺め、コアな竿の話で盛り上がる。
とりあえず、竿の作り方を教えてもらった恩人に、
竿の出来栄えを見てもらうと言う目的は果たせた。
魚の入魂ならいつでもできる、
しかしある意味この竿に魂は入ったように思う。
それも釣りの楽しみだと思うのである。