毎日を明日なきものとして生きる

外遊びの楽しさを探すブログ

天空の青き湖

何年前になるだろうか、天空の青き湖に住む青き魚の話を友人とした。

その魚を攻略する事、そんな夢見物語のようなロマンを追い求める事、

将来そんな粋な大人になりたいと思う事、いつまでも童心を忘れない事。

そんな折に、友人は転勤になり、その計画が延期を余儀なくされてから、

今日に至る。

話の発端は何気なく釣りの誘いを入れた事から、急転直下した。

野反湖を企てましょうか」

友人からの言葉に少々驚いたものの、遂にこの時が訪れたのかと、

燻っていた思いが再燃したかのようであった。

 

トラウトの聖地とも言われる中禅寺湖に次ぐ、

標高の高い湖であるのが野反湖

青く見えるその水質の湖に住む青い背中のトラウト、

ブルーバックと呼ばれている。

その希少さから、その魚を釣ってみたいと言うアングラーは少なくない。

しかし、その湖は魚の絶対数が少なく、攻略はかなり難しい。

実際、この魚の存在を知ってから数回、単独で挑戦したものの、

魚信すら得る事もなく、惨敗した経験がある。

その難しさから、今回の釣行も少し腰が引けていたのは本音である。

しかし、そこにロマンを求めるのであれば、釣果を気にするのは

あまりにも陳腐な思想だと思った。

 

僕自身、数年ぶりに訪れる野反湖

友人との待ち合わせ場所に車を走らせる道中は、酷い雨に見舞われ、

深夜に落ち合った時にはひと時止んでいた雨も、

現地に向かう道中は濃霧と、時折激しくなる雨にこの日の釣りにも

暗雲がたちこめるようである。

釣りの開始は日の出、薄明るくなってから自販機で

釣券を購入して、いよいよ釣りを開始する。

数年前に調査した際に、見た目からも一級とわかりやすいポイントから始める。

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止水の釣りの難しさをお互い知っているだけあって、

我慢の釣りになると感じていた。

通いつめて魚のコンタクトするポイント熟知すれば、

流しやランガンも戦略としても有効であるが、

この湖の事を理解していない物としては、迷子になる可能性は高い。

それならば、回遊に期待してマグレで糸口を掴むしかない。

ルアーをローテーションしながら、こまめにキャストの方向や、

小さな移動を行って気を紛らさわさせる。

 

対岸のフライマンの数人に魚がつれたよう釣れたようだ。

ポイントはそう離れていないが、そのポイントに特別な変化が

あるのであれば太刀打ちはできない。

今はそう遠くない場所には魚がいると言うことで、

モチベーションが保たれていた。

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サギがおこぼれを狙っているのかな?

 

雨が降ったり止んだり、目まぐるしく変化する天気を

気にする余裕もなく、ひたすらにキャストを繰り返す。

あまりに何も起きないので、フックの付いていないスプーンを

投げていてもしばらく気づかなかった。

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そしてその後も何か特別な事が起きる事もなく、時間は無常に過ぎて、

時刻はお昼に近づいていた。

一度離脱して、昼飯を食べて、ポイントを移動することにした。

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天気が良ければ椅子とテーブルで、昼飯とコーヒーブレイクもしたかったけど、

昼食の間も断続的に降る雨で、いそいそと食事を済ませたのが

今となっては心残りだ。

ラスト数時間、ポイントを歩いて回りながらラストスパートをかけ、

奇跡のドラマ魚を求めた。

しかし、無情にも打ち付ける雨の前に、予定より早めに切り上げることにした。

 

人生にはなかなか思い通りに行く事は少ない。

人の思惑とは所詮その程度の物であり、

過度な期待はするだけ無駄であると思う。

しかし、その無駄を楽しめる人ほど、人生を楽しんでいるのだと僕は思う。

そんな大人になりたいと願い、そんな人間に近づけたような気がする。

「毎年恒例になる」

そんな事を言った友人、僕のわかりあう友人も僕と同じく常人とは少し感覚がずれた部分が

あるのだと思っていた。

やっぱり根っこの部分は似ているとと再認識させる出来事だった。

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今年は色んなことがあり、思うように釣りもできなかったけど、

単独釣行では味わえない楽しみが改めて見えた気がした。

いつの日か、憧れの魚が釣れるように続けて行けたらと思います。