今年は寒暖の差で紅葉が綺麗だ。
そんな話がちらほらと、耳に届く季節になった。
本屋に行けば、登山関係の雑誌コーナーには、
紙面は紅葉を題材とした雑誌が並ぶ。
そうだ、今年は山へ行こう。
乗せられた感は否めない物の、
紅葉に染まる景色を求めて、山に登ったことは過去に1度。
ドライブや観光で紅葉を見に行ったことはあっても、
それを目的で山に登るのは、小学校の遠足が最後だ。
そう思うと無性に山に行きたくなる、
正直本人も何が起点なのか分からなくなるのだが、
そんなことは置いておいて、こうやって突発した登山が始まった。
今回選んだ山は、長野と山梨にまたがる金峰山。
紅葉のぐあいや、混みぐあいをあれやこれやと考えて、
この山に決めたのは、前日の話だった。
遅くなった朝が、来る冬の訪れを感じさせ、
出発の準備で外に出た時の空気が、
すでに季節は秋になっていたことに気づく。
何事にも『らしいさ』に欠けたこの頃だが、
そんな中、僅かでも季節感が垣間見れることで、
自分の中のルーティーンが保たれるかのようだ。
僕にしては遅めの出発。
登山口のキャンプ場の駐車場には、すでに多くの車が駐車されていた。
流石は秋の連休、キャンプ客も多く、
大小の岩山に囲まれたここ川上村は、
クライミングをする人達も多く見られた。
そんな人達を横目に、林道を経て川沿いを金峰山に向け出発した。
ほどなくして今回の最大の目的とも言える、紅葉が現れる。
吐く息が白く、ひんやりした空気に包まれて見る紅葉は、
歩くのも忘れさせ、シャッターを切らせる。
中盤は森の中で、展望も望めず、黙々と山頂を目指した。
金峰山荘に到着すると、ダンディーなロマンスグレーの従業員が出迎えてくれる。
不愛想な彼ではあるが、心の優しさは顔ににじみ出ている。
手を出して挨拶すると、顔を上げて撫でさせてくれた。
可愛らしい顔を写真に収めようとすると、
「なんだ、撫でないならもういい」と言わんばかりのこの表情。
流石は沢山の登山客を相手にする山荘犬。
山男は寡黙で、多くを語らないってもんだ。
金峰山荘からは岩場の登り。
久々の標高2500m超えに、気づかぬうちに息が上がっていく。
振り返るとガスが晴れ、川上村や遠くの山々が顔を出す。
お昼前に山頂に到着。
この日は長野県側は晴れていたものの、
山梨県側はガスに覆われ、期待していた富士山は望むことが叶わず。
早々に金峰山荘まで降りて、昼食のおにぎりをほうばっていると、
ガスが晴れ、遠く瑞牆山も望めた。
山頂付近でガスがかかっていたものの、
全体的に天気が良く、展望を望める山登りは、
やっぱりいい物で、沢山撮った写真を家で吟味する夜は、
格別にいいもんです。
帰宅途中には、しばらく山は良いかなと思っていても、写真を見ればいまた行きたくなるのは不思議です。
念願の秋の山、多くの人が山に魅了されるのが、
少しわかった気がしました。