毎日を明日なきものとして生きる

外遊びの楽しさを探すブログ

僕の夏休み

記録的な猛暑、記録的な豪雨と

過酷な気象に覆われた今年の夏。

さんさんと降り注ぐ太陽、白く沸き立つ雲、

軒下のすだれと、涼しげな音を奏でる風鈴と相反し、

鳴き声だけで額の汗を促すような蝉時雨。

そんな日本の夏らしい夏は、時代のように古き良きものと

なっていってしまうのだろうか、

なんて不安を感じるのも、近年になって増しているような気がする。

そんな不安はあるものの、

夏と言えば1年間待ちに待ったと言っても過言ではない、

夏休みと言う恒例行事が待っている。

今年も家族と一緒に、僕の夏休みが始まった。

 

今年は仕事の都合で、僕だけ後からの合流となった。

夕方仕事が終わり、健康ランドで汗を流すと、

日常の自分も洗い流されるような感覚になり、

気分はすっかり休暇モードに入る。

一端帰宅して、翌朝出発でも良かったのだが、

一分一秒でも早く、日常とかけ離れたいと言う気持ちで、

夜通し高速を走らせた。

 

目的地にたどり着いた頃には、日付はすでに変わっていた。

何度か仮眠を挟んだものの、仕事の疲れと眠気に翻弄される。

年々少しずつ無理の利かなくなっていくなかで、

年齢を感じざるおえないのだが、そこは夏休みと言うだけで、

気力も湧いてくる気がするのは、不思議な物である。

 

海辺に来たことで、川で鱸を狙うことにした。

久しぶりの鱸狙い、何の明かりもない真っ暗な闇が、

気分を高揚させていく。

3時間ほど竿を振り続けたが、何か1度だけ当たってきたのみ。

この日は月明かりはなくなく、満天の星空を眺めながらの釣り。

何もなくとも、このシチュエーションだけで十分。

やけに流れ星が見えると思ったら、

この日はペルセウス座流星群の日だった事を、

宿泊先に帰ってから知った。

そうやって僕の夏休みが始まったのである。

 

少し仮眠を取ると、すでに日は高く上がっていた。

眠い目をこすりながら窓をあけると、

地元のうだるような暑さとは、明らかに異なる空気に、目覚めも最高だ。

すぐさま着替え、用事と昼食を済ませると、子供と海に向かう。

突き抜けるような空の青に、沸き立つ雲の白が空の青を引き立てる。

海までは子供と小走りになり、我先と海水に足を浸した。

 

日付は変わって翌日。

毎年必ず訪れる渓へと向かった。

今年は猛暑の影響もあり、川は渇水傾向であった。

川に足を浸すと、ヒヤッとした冷たい川の水が出迎えてくれる。

ジリジリと肌を焼くような夏の太陽。

水の冷たさが気持ちよく、川の水の冷たさを引き立てる。

岸際には幼魚が群れをなし、キラキラと泳いでいた。

ただいま。

年に数回訪れるぐらいの川なのだが、

いつも変わらず迎えてくれる場所に、

戻ってきたと思わせてくれるのがこの川の特別なところなのだ。

 

今年、人との出会いが、新しいルアーへの出会いに

繋げてくれた事も、今年の釣りを楽しくさせている。

それは場所が変わり、この川に戻ってきても同じく、

開始早々多くの魚がチェイスしてくるのを目の当たりにできている。

時間の都合もあって、足早に上流へと登って行った。

この日は打つ場所を決めていて、あるポイントを

じっくり攻めようと言う作戦なのだ。

あるポイントとは、夏の同じ時期、この川で初めて

良い形のヤマメを釣ったストレッチだ。

そんな思い出の再現をしたいのと、その後あの時の魚を超す

ヤマメに出会えていない事から、まだ見ぬ夏ヤマメへの思いが

あったからと言う理由もあった。

 

この日の反応はすこぶる良く、手のひらぐらいの魚が

ポンポンと飽きることなく釣れる。

いや、本当のところはバラシやランディング手前でポロリも多いのだけど、

そんなルアーに反応するやる気のある魚と

遊んでもらえてるだけで幸せだ。

 f:id:gonfactory:20180829001248j:plain

その中でも体高があって、パーマークの綺麗で、

元気なヤツも釣れてくれた。

頭上高く上がった日の光が、山の影を流れる川の川底まで到達するころ、

この日に決めた脱渓ポイントにたどり着いた。

思い出のストレッチには、魚は留守のようだったけど、

今年も変わらずに魚が迎えてくれたことが、

素直に喜べる自分がいた。

こうやって僕の夏休みが始まったのだ。

 

つづく