毎日を明日なきものとして生きる

外遊びの楽しさを探すブログ

遠征 その2

久しぶりの渓で、魚との出会いに足取りも軽く、

さらに上流へと進んで行く。

この渓は切り立った崖に阻まれ、水辺へのエントリーポイントが少ない。

一度水辺に降りると、かなりの距離を戻ってこなければならず、

ポイントの選択をより慎重にしなければ、

時間だけを消費するはめになる。

崖の上を走る山道から水辺を眺め、水量による流れの形成具合を確認しながら進む。

結局、何度かのチェイスはあったものの、バラシがやっと。

そんなことをしていると、深い谷にも日の光が落ちてきた。

所要があるので、この日は時間もなかったが、

さほど落胆も焦りはなかったのは、

その時間帯で1つ核心のポイントが頭の中にあったからである。

それを見越して、そのポイントは飛ばしてあったのだ。

 

この日最後のポイントと心に決め、

このシチュエーションでは絶対的なルアーへと取り換える。

一応手前を軽く打つが、社交辞令のようなもので、

一刻も早く核心のポイントへ打ち込みたい衝動を

ぐっと堪え、ひとつ深呼吸をする。

バックハンドから放たれたルアーは、白泡の中に消える。

スッと落とし込み、1つ目のトゥイッチに衝撃が竿を介して伝わった。

 
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今日の釣りを考えたら、これで十分と思えるほど。

遠征で来たからこその、出会い。

写真を数枚撮った後、ラインチェックをして、すぐさまキャストを再開する。

方法は先ほどと同じ、キャストで少しずつ落とすポイントを変える。

その数投目、ゴンと言う衝撃の後、即座に合わせると、根掛のような重み。

しかし、のそのそと動き出すところを見ると、どうやら本命が来たようだ。

ここ最近は竿のパワーが強すぎて、簡単に寄ってくるのが常だっただけに、

あ!寄ってこない!と、その時思った。

流れに乗り、下流へと走る魚を、強引に向きを変える。

後ろに移動しながら、太い流れから引きはがした。

久々に深い曲がりをする竿を横目に、さらに気持ちも高揚する。

浅瀬に追い込むように、魚を足で囲むと、

「よっしゃ!」と自然に口を突く。

 
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間違いなく思い出の1尾となる魚が、

遠征と言う特別な釣行での出会いで、

自分の中の価値観を凌駕するほどの衝撃を覚えた。

いろんなタイミングで、再び出会うことができたこの渓の魚。

そんな出会いに、感謝しなければならない。

また来年、来られるようなら、また遊ぼう。


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遠征

年に数度、地方へ遠征に行くのが、

ここ10年ほど恒例になっている。

遠征には色々な目的があり、

それは釣りだけが目的ではなく、

他の要素があるからこそ、釣りの思い出も

際立つものになると思うのである。

 

仕事終わりに車のトランクに荷物を詰め込んで、

深夜の高速を目的地へと走らせる。

窓に流れる街の明かりが徐々に少なくなると、

日常の喧騒やしがらみも、一緒に流される感覚も、

また遠征と言う旅の良いところでもあり、

自分に戻る瞬間でもあるこの時間が好きなのだ。

 

早朝に目的地に到着すると、軽く横になり

しばしの朝寝で休息。

初日は偵察と所用を済ませて、翌日に備えた。

 

この時期徐々に日の出が早くなり、

冬の間怠けていたことで、なかなか布団から出られない。

そんな事をしていると、出発する頃には東の空が白み始めていた。

 

数年ぶりに訪れた渓は、あまり変化も無く、

記憶のままの渓相が出迎えてくれた。

そのどこか懐かしい風景が、数年前の釣りを思い出させ、

無意識のうちにポイントとなる縁にたどり着いた。

 

過去の記憶では水位は平常、水の色も最高な透明度。

久々に会う渓に、挨拶もそこそこでいざキャストを開始した。

長旅の疲れもあり、そろりそろりと打ち上がる。

早速この日初めての魚信を得ると、俄然やる気が満ちてくる。

山桜も散り始め、花弁が舞う美しい山並みを横目に、

さらに山の奥へと歩を進める。

ウェーダー越しに伝わる水温は、早春を思わせる冷たさで、

山頂の残雪の様子から、雪代の残りがあるだろうと予想させた。

 進行方向左手に緩やかにカーブするその先に、

良さそうな深みを隣接するポイント。

前回の記憶を辿っても、そんなポイントがあっただろうか?と

思い出すことができないでいた。

地形の変化か、水位の関係か、とにかくキャストを始めた。

少しずつキャストの精度を上げていきながら、

核心のポイントに投げ入れるが、魚からの反応はない。

トレースコースを変えるように、アプローチを変化させる。

3投目だったか?コツンと当たったような気がした。

次のキャストで明らかなアタリを、抑え込むようにアワセを入れる。

 
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小さいながらも元気な魚。

遠征と言う釣行の中、どんな魚でも嬉しいものである。

 

こうやって遠征の楽しい釣行が始まるのである。 

頂き物

ひょんな事が切っ掛けで、少し前にランディングネットの

オーナーさんより、すごい頂き物をした。


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PENTAX K-30

新しい一眼にステップアップしたことで、

出番がなくなったと言っていたが、

僕にとっては高根の花のデジタル一眼。

こんな高価な物をいただいていいのだろうか?と悩んだものの、

贈っていただいたオーナーさんの気持ちを汲み取り、

ありがたく頂戴することで、贈り主の気持ちに応えるなんて、

都合の良い解釈をして、自分への言い訳とした。

 

僕の親父はその昔、自称写真好きだった事もあり、

フィルムの一眼を所有していた。

若い頃、お遊び程度にかじった写真。

一眼レフを首からぶら下げて、その気になって結構写真を撮って回った。

今でこそデジタル全盛で、一眼のファインダーを覗く女子を、

街中や公園、山などでも見ることは珍しくなくなったが、

僕の若い頃は写真の趣味と言うと、少し特殊なジャンルだった気がする。

まず、カメラ事態は高価だし、その撮影法に関しては

マニアックな部分も兼ね備えている。

どちらかと言えば、好きな何かに執着するあまり、

より綺麗にそれを記録したいという思いの延長が、

一眼レフと言う領域の趣味な気がする。

例えば鉄道マニアだったり、モーターショーに現る、

カメラ小僧などのイメージが僕の中ではそれにあたる。

 

話は大きくそれたが、趣味の領域の写真が

大きく変化したんだなぁと、この頂き物で考える切っ掛けとなったのだ。

 

デジタル一眼には少し前から興味はあった。

今は手の届きそうな価格帯の物や、

ミラーレスなんて小型かつ、一眼に近い写真が楽しめる物まで、

今やその懐は深く、老若男女広い世代に楽しめる趣味として広がったのはうなずける。

いずれにせよ、僕には良い切っ掛けとなった事に違いなく、

この事でより深くカメラを贈ってくれたオーナーさんに、

感謝ることとなった。

 

話は戻りますが、頂いたカメラは防塵、防滴、

外遊びの好きな僕にとって、気になるカメラの1つでした。

さすがは同じ趣味を持つオーナーさんならではのチョイスしたカメラである。

一眼なんてもう十何年も触っていなかっただけに、

機能はもちろん、カメラの知識さえおぼろげで、

少しずつ得る使い方の知識と、あぁ・・・こうだったなぁと言う記憶。

まずは1枚1枚撮りながら、良い写真が取れたら、

オーナーさんに見てもらおう。

いや、見せられる物を撮れるようになろうと、

思えるようになっていた。

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まずは動かなく、そのもの自体がすでに美しい、

裏庭に咲く野草を相手に練習を重ねていく。

この少しずつ分かっていく、このプロセスは何にしても楽しい。

 

オーナーさん、大切に使います。

ありがとうございました。

 

川原の散歩

朝の散歩のような釣行、
川原に陽が差し込むと、
川底のかなり深いところまで、
手に取るように見渡せる。

気が抜けていた時、流れの中から飛び出してきた魚にドキッとする。
ルアーにじゃれつくような攻撃をするのは、
手のひら程の1年生ぐらいの子たちだろうか?
しきりにつつかれるが、針にはなかなか掛からない。
手を変え品を変え、ようやく手元まで寄せてきたとき、
ランディングネットを忘れたことに気付いた。
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ランディングネットを作っているのに、
一番間抜けな忘れ物だと笑えてきた。

いつもより長い距離を散策し、
バラシが多く、キャッチできたのは2尾。
でも、負け惜しみではなく、食わせられたことで、
どこか満足している自分がいる。
帰宅すると夏のような日差しが照りつけ、
すでに季節の移り変わりを感じさせる、
4月の出来事でした。

嬉しい便り

竹ランディングネットのオーナーさんより、

嬉しい便りが届きました。


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魚も去ることながら、写真が美しい。

いつも写真をいただいては、自分が釣った魚のような

嬉しさが込み上げます。


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網の色と、サビの入った魚の色合いが

とても良いですね。

 

これから春の良い季節、

どんな写真が送られてくるか、

ますます楽しみです。

初魚

4月に入って、入学式に桜の開花を間に合わせるかのように、

一気に春らしくなってきました。

今日入学式の学校も、多いと聞きます。

やはり校庭に桜が満開だと、文字通り入学式に花を添えると

感じさせますね。

 

週刊天気予報を見ると、週末の天気は雨。

半分諦めながらも、往生際悪く目覚ましだけはかけて就寝。

アラームで目を覚まし、布団に潜ったままで天気予報を見ると、

曇りマークに変わっていた。

それからイソイソ支度を始め、今シーズン初のホームの川へ向かった。

 

そのシーズン最初に訪れる川には、毎年同じようなワクワクがある。

川は毎年少しずつ変化があり、懐かしさの中にもワクワクが存在する。

どうやら秋から冬の間に、整備をしたようで、

流れが大きく変わっていた。

しかし、それは護岸とかではなく、あくまで自然を壊さずに、

岸の侵食を防ぐ為の整備に僕は思った。

川筋を川幅の中央に寄せたことで、新たに良い縁が生まれていたからだ。

なんとなく『帰ってきた』と言う気持ちにさせてくれるのである。

 

スタート時には降っていなかった雨も、

進んでいくうちに雨粒が強く水面を叩くまでになり、

断続的に終始降り続けた。

目に着く良いポイントは反応はなく、

当たり前の話だが久しぶりだと言うのに、

魚は僕との再開を歓迎していないようだ。

 

お気に入りのストレッチの中盤で、良いポイントが連続する。

最初の縁でチェイスがあると、2つ目でバラシ、

3つ目でようやく顔を拝むことができた。


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ここのところ渓流の初魚はこの川である。

家に着く頃には小降りになった空を横目に、

濡れた道具を干すのでした。

親友と釣り

季節外れの寒気に、開花を控えた桜もたじろいだ3月の末。

5年ぶりに転勤離れていた友人と、久々の釣行となった。

雪をちらつかせる早朝の集合場所、

そこは転勤前のその友人とよく待ち合わせた駐車場。

しばらくぶりの駐車場はだいぶ様変わりしていたものの、

早朝の暗がりに僕を待つ友人の車が、ポツンと停まっているその光景は、

どこか懐かしい。

車の上にうっすら積もった雪が、深夜に雪を降らせたことを教えてくれた。

先日までの春のような気温から一変、真冬に戻ったかの気温。

その日の釣りは厳しいだろうと容易に想像がついたが、

そんなことは全く気にすることなく、とりとめもない会話が車内を取り巻く。

 

川沿いに走る国道に設置された温度計は、マイナスの気温を示していた。

釣場に到着すると、周囲の山々は昨晩の雪で白く化粧をしている。

川辺の土手や田畑は霜で白く、川岸のよどみには氷が張っていた。

周囲がだいぶ明るくなる時間、僕もこの日が今シーズン最初のキャストをする。

想像していたより寒くなく、その1投1投で徐々に体も温まっていく。

低水位のお陰で、魚が付きそうな流れは遠く、待望の朝一に魚からの反応は無かった。

 

この川は5年前、友人と本流トラウト始めた場所。

試行錯誤でポイントを探索し、その面白さを覚えた場所である。

転勤する前に友人の為に作った、ランディングネットは、

転勤先での使う場所がなく、戻ってきてようやく活躍の場を得られた。

竹ランディングネットを作り始めて2本目のそのネットはまじかで見ると、

その時の思い出がぽろぽろとこぼれ落ちた。

 

ポイントをいくつか周るが、魚からの反応は未だにない。

こんな状況もいたって普通といったところ。

毎年この時期にこの川を訪れているからこそ、

この川の厳しさを身をもって知っているのである。

 

2人一定間隔を保ちながら、時々先行を交代しては打ち進んでいく。

そろそろ飯にしましょう。

そんな言葉をかけようか考えていたとき、

横の視界に友人が竿を曲げる光景が写った。

おお!

川の流れに消されぬ声で叫び、自分のルアーを急いで回収して、

彼の元へ走り寄った。

近づいてやや後方からやり取りの一部始終を見守る。

竿の曲がりから、魚は小さくないと見て取れた。

そして、僕が作ったランディングネットに、魚を滑り込ませた。

やった!

交互に二人の口をついたのは、その言葉だった。

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友人として、ランディングネットのオーナーとして、一釣り人として、

彼の存在を改めて思い知る。

そして、お帰りなさい。

また、あの楽しさが戻ってくるのかと、そんな予感は現実となった。

 

釣りの帰り、二人で温泉に入り、居酒屋で祝杯を挙げる。

こんな釣りを通じての楽しさを、僕は探していたのかもしれないと思える、

長い長い一日を車中泊の車内にて思うのでした。

 

いろいろとありがとうございました。