しばらく前になるのですが、とある神社に行った時の事でした。
カミさんのマイブームでもある御朱印集めで訪れたのである。
それまでは年に1回、多くても2回ほどしか訪れない神社仏閣、
こんなことがなければ年に何か所も訪れることはないのだが、
御朱印集めはそんな足の遠のく文化への関心を寄せる良い機会なのかなぁ
なんて思うのである。
話が脱線しましたが、そのとある神社の境内には、
放し飼いになったウサギが数羽いた。
珍しい光景の中、御朱印をもらいに行くと、建物の奥から
1人の神主が現れた。
その神主に御朱印をもらいに来たことを伝えると、
その神主は開口一番「ウサギは好きかい?」と問いかけてきた。
「はい、好きです」と伝えると、
「手を出して見なさい」と神主の云うがままに、両手を差し出した。
神主は上着のポケットに手を突っ込み、何かを僕の手の上に乗せた。
生後二週間のまだ目も開いていない子ウサギでした。
山奥にあって、トンビ、イタチ、カラス、フクロウ、と言った、
外敵の多いので、ちゃんと自立するまでは守ってあげるのだそうだ。
外に出れば敵だらけ、そんな中強く生きてほしいと、
神主の気持ちが伝わってきた。
そんな手の上のぬいぐるみのような子ウサギを
娘の手の上にも乗せてあげた。
ワーワーと嬉しそうな声をあげ、かわいいかわいいとしきりに言っていた。
その小さな命を手のひらに感じ、優しい心が芽生えれば、
そんなことを思いました。