竿のリメイクを教えてくれた友人が、
面白い竿を作ったと連絡があった。
古いグラスロッドに古い富士のガングリップを付け、
アブの2500Cをのっけた写真を送ってきた。
アレコレ竿談義に花を咲かせていると、
その竿の入魂に行かないかと嬉しいお誘いを受け、
渓流ベイト縛りの釣行と相成った。
特に天候なんぞは気にしてはいなかったが、
当日お昼前まで傘マーク。
集合場所に到着すると、ポツリポツリとフロントガラスに
雨粒が並んでいった。
友人と合流して、車を1台に乗り換え、いざ標高のある山へ向かう。
山の麓のコンビニに着く頃には、雨粒も大きさを増していた。
今回の目的地は、標高1800mほどに流れる渓流。
河原の脇に車を停め、結構な雨が降る中準備をする。
雨のせいもあり、吐く息は白く、こんな状況を想定して、
春先に着るインナーを着てきたにも関わらず、
肌寒ささえ感じた。
河原の土手を下り、水の中に入れた足が冷たく感じる。
平地では真夏のような日が続き、梅雨入りをしたというのに、
ここはまだ初春である。
それは、北海道に遠征に行った時と同じく、
普段の生活とギャップを感じる気候に、
自然の面白さを感じた事を思い出していた。
川幅3~4mほどの渓相が続く。
先行を譲り合いながら、早めに入魂してくださいとの
僕からの一手で、先行は友人になる。
雨の影響か、はたまた違う要素なのか、
友人とお互いここに居ると思わせた場所では、
ことごとく不発。
それでも、釣りのうまい友人は魚を掛けてみせる。
残念ながらジャンプ一番、フックアウトしたものの、
あぁー!とか、おしー!とか、
いつものお一人様では味わえない楽しさがある。
雨の降る中、いい年したおっさん2人が、河原でテンションが高い。
そんな中、無事友人の竿の入魂をする1尾が現れ、
とりあえずは目標達成と喜んだ。
入魂を理由に先行させ、たとへ僕自身の理由で
釣れなかったとしても、「今日は譲った」なんて言い訳の利くと
思っていただけに、入魂を機に先行させてくれる事に、
少々プレッシャーを感じながら、今日1尾目を狙う。
1つ前の瀬でアタリがあり、目の前までチェイスがあった。
一つ瀬を乗り越えて、次も先行を譲られ、緊張の中キャストした。
鋭いアタリと共に、強い引き。
続けざまにもんどりうってジャンプする。
なんとなくイワナのファイトとは違う気がしたが、
ネットインさせて驚いた。
綺麗なニジマス。
見た目から放流物ではなく、この川生まれのこの川育ちのようだ。
とりあえずボーズは間逃れた。
その後も魚からの反応は程よくあり、
友人と2投交代しながら、釣ったりバラしたり、
釣れた魚に2人で喜び、大きな声を上げ落胆したりもする。
それはまるで、小学生の頃の釣りである。
そろそろ脱渓に近づいた時、ふとランディングネットが
無い事に気づいた。
一度、最後にネットを使ったところまで戻ってみた物の、
ネットは見つからず。
ランディングネットを作るのに、紛失するのはこれで3回目である。
1度は諦めた物の、友人も捜索に加わり、再び川沿いを捜索していくと、
先ほど戻ってきたポイントの、ほんの少し下流の落ち込みに、
少しだけ水面から出ているネットを発見した。
友人にはお騒がせしてしまい、大変申し訳なく思ったものの、
そんなエピソードも子供の時の思い出に登場しそうで、
それはそれで面白いなぁなんて思ったりした。
気付けば11時ぐらいから始めた釣行も、
飲まず食わずで16時になろうかとしていた。
高低差なく蛇行する渓相は、北海道の湿原とよく似ていた。
倒木があり、その下を通すと、今日1番のシルエットが、
ルアーを追いかけるのが見えた。
終盤になってもまだ、チェイスに2人興奮していた。
ラスト1投と言いながら、お互い交互にキャストをする。
最後の1尾、ドラマのようにはいかなかったが、
今日の出来事を話しながら、下ってきた川を、
車の止めてあるところまで戻る。
なかなかこんなに楽しい釣りはないのだが、
ここ最近は友人のお陰でそれが出来ている。
そんな事を嬉しく思ったりする。