毎日を明日なきものとして生きる

外遊びの楽しさを探すブログ

奇襲

前回の続きです。

 

防波堤で久し振りにシーズンのメバルと戯れる休日。曇天の空模様から雨粒が降ってくるのが気になる雲の流れになってきた。じゃ、後何投したら終わりなんて、釣人ならわかるであろう自制のルールを設けた。その何投かは全集中でルアーの動きを糸と竿を介して感じ取ろうとする。

その何投目かで、今までに無いアタリに気付いた。いや、今までもあった当たりかもしれないが、メバルにうつつを抜かすあまりに気づけなかったのかもしれない。

そのアタリというのが連発するようなもので、何か競い合って、奪い合うようなもののように感じた。今までのメバルよりアタリは強かったのは覚えているが、それがメバル以外の魚だと言うことは思いもよらなかった。

 

ラスト何投なんて意味もないルールをあっさり超えて、先ほどのアタリが何なのかを知りたい欲求が時間を延長させる。その何投目か、すでに数えることすらしていないキャストを繰り返していた。リトリーブのタイミングをずらしながら、さっきのアタリが再び訪れる。先程より鋭く合わせると今度はのった。

 

最初の数秒、海藻の茎をフッキングしたような重みと、ギューッと引っ張り合うような感覚、半信半疑のリーリーングを続けると、沈黙を破ってドラグが放出された。

一瞬なんだ?と思ったが、すぐに何匹かの魚の見当はついた。その次の瞬間このタックルとラインでは足場の高いこの防波堤の上まで、引き上げることは不可能だと気づく。忘れかけていたが、海には思わぬ大物がかかることもある。そんなときの備えは、ちゃんとしなくては駄目だと、釣友は言っていた・・・。

とは言っても、この状況をなんとかしなければならないが、運良く近くで釣りをしていたのがショアジギングをしている若者だ。恥を忍んでランディングのお手伝いをお願いすると、急いでネットを出してくれた。

久し振りにのイナダ。

ランディングしてくれた若者は、沖磯のヒラマサ狙いだったが、海があれて渡船できず、近くの港に釣りをしに来たと言うことだった。

お礼にポイントを譲り、帰り支度を始めていると、ランディングしてくれたその若者が、僕より一回りほど大きいのを釣っていた。正しく情けは人の為ならずである。

 

思わぬ大物、釣人との交流、釣りの面白い要素が詰まった釣行となった。