この2年間コロナ禍で春に渓流に行けず、久しく春の渓流から遠ざかっていた。ようやく外出の制限も緩和の方向に向かっているようで、色々なところで人も多くなってきたように感られるようになった。ここのところ気持ちが外へとなかなか向かなくて、出かけることに抵抗すらあったけど、緩和の雰囲気が徐々に見えてくると、不思議と外にも気持ちが向いてくる。久しぶりに渓流へと出かけることにした。
この春手に入れた新しい竿の慣らしも兼ね、気楽にできる渓流を選んだ。ここの渓は去年の夏ぶり、春に訪れるのは2年ぶりになる。なぜなら、慣れないスピニングタックルで、釣りもままならないことはおおよそ検討はついていた。
この釣行の前にキャストの練習は何度かしていたのだけど、思うようなところに飛ばず、不安を抱えたままの釣行になった。こんな気持の釣行は釣りを初めたころのそれと一緒のような感覚で、ある意味初心を思い出すような気持ちである。
その日は朝から雨模様で、時折激しく打ち付ける雨音は釣りに行くのも諦めようかと思うほど、しかも雨のせいで下がった気温は魚にも人間にも厳しい状況であることは、いくらしばらく釣りから離れていたとは言え、肌で感じられる。
しかし、新しいタックルに2年ぶりの春の渓流への期待の方が上回り、その気持で重い腰ごと渓流へと足を運ばせるのであった。
河原に車を停め、後ろのハッチを雨よけにしてウェーダーに着替える。少し身震いするほど冷たい雨、しかし川の色は笹濁りの良い感じに見えた。
支度が終わり、川に下りて水を触ると水は冷たかった。山の上の方にはまだ残雪もあり、その影響もあるのだろうけど、この冷たい雨はかなり苦戦しそうだと総予感するに容易であった。
慣れないスピニングに、あっちに引っ掛け、こっちに根掛かり。
せっかくの絶好のポイントも無条件で潰してしまうのでは、釣れるものも釣れない。
確か渓流初めた頃、こんな落胆をしたなぁと回帰する。
一つ一つポイントを潰しながら、流れの中から待望の1尾が現れる。
これがこの竿での初めての1尾。大きさも嬉しさも初心者の頃のそれと変わらず、久しぶりの釣りというところも、その嬉しさに華を添える要素になったに違いない。
自分の下手さ加減は置いといて、この日の釣りは厳しいのではないかと実感していた。
つづく